防水工法の種類と特長 アスファルト防水Q&A


 
アスファルト防水の工事現場で発生する煙や臭いに苦情が出ることが間々あります。このため当工業会では、これらの回答を兼ね、アスファルト防水について人体や環境への影響を中心に以下のとおり解説させていただくことにいたしました。
アスファルトはすぐれた防水素材であり、人体や環境に安全であることをご理解いただけたら幸いです。

Q1 アスファルトとはどのようなものですか? Q5 工事現場で発生する煙と臭いの成分は何ですか?
Q2 「アスファルト」と「コールタール」は違うのですか? Q6 煙と臭い以外に人体や環境への影響はありませんか?
Q3 アスファルト防水の役割と信頼性は? Q7 アスファルトの煙や臭気を低減するための手段はありませんか?
Q4 防水工事はどのように行われるのですか?    



Q1 アスファルトとはどのようなものですか?
▼Answer
 アスファルトは、人類の起源から私達と深い関わりをもっています。有名なノアの箱舟の建造に「アスファルトを使用した」と旧約聖書に書かれています。また歴史的には紀元前2500年ころから、古代エジプトではミイラの防腐処置剤としても用いられていました。現在でも道路の舗装用として、また屋根の防水材料として私たちの身近な存在として幅広く利用され続けています。
 現在使用されているアスファルトは、原油を石油精製工場で精製して造られる黒色粘稠性の軟固体状物質です。アスファルトの性質は、普通の温度では固体です。加熱する事により柔らかくなり、更に高温では液体状になります。特性としては、透水性が低く、水の透過を遮断し、耐久耐候性に優れています。アスファルトのこのような性質・特性を活用して、防水分野でも大きな役割を果たしています。
■建物の防水層として ・・・・・・・・ 築物の屋上・室内・浴室・厨房 等
■土木構築物の防水層として・・・・ 共同溝・地下鉄・人工地盤 等
■土木遮水層として ・・・・・・・・・・ ダム・護岸・防波堤 等


Q2 「アスファルト」と「コールタール」は違うのですか?
▼Answer
 「アスファルト」と「コールタール」は、外観がよく似ていますが両者はまったく別物で、「アスファルト」は石油から製造され、「コールタール」は石炭から得られます。
 特に人体への影響については、「コールタール」には発癌性に強い影響を及ぼしている「ベンゾ(a)ピレン」という物質が非常に多く含まれていますが、「アスファルト」に含まれる「ベンゾ(a)ピレン」の量は極めて少なく、例えば、焼肉のような食品に含まれる量よりも少ないと報告されています。


Q3 アスファルト防水の役割と信頼性は?
▼Answer
 建物の大切な役割の一つに、過酷な自然条件(風雨雪)等から快適な生活と家財を守ることにあります。この役割は主に屋根が受け持ちます。瓦葺き等の勾配屋根と異なり、コンクリート造り等の比較的平らな屋根(陸屋根)では、雨水を一旦溜める状態となるため極めて信頼性の高い防水が要求されます。
 どのように堅固なコンクリートでも、それ自体で雨水の浸入を防ぐことはできません。そこには、一点の針穴も許さない連続一体化した皮膜の「防水層」が必要とされ、このため防水工事が行なわれます。
 「防水」には素材や施工法によりいくつかの種類がありますが、その中でも「アスファルト防水」は100年来の実績と経験を踏まえた最も信頼性の高い防水工法として、現在でも超高層ビル・集合住宅等の多くの建物に採用されています。


Q4 防水工事はどのように行われるのですか?
▼Answer
 合成繊維不織布や有機繊維原紙、ガラス繊維などの基材にアスファルトを含浸塗覆させた物を「アスファルトルーフィング」と言います。
 防水工事現場では、この「アスファルトルーフィング」を熱にて溶融させたアスファルトでコンクリート下地等に貼り付けていき、同じ工程を繰り返しながら2枚から3枚以上、複数貼り重ねて防水層を作り上げます。
 加熱溶融したアスファルトを用いるので「アスファルト防水熱工法」と呼ばれ、日本では1905年(明治38年)に大阪瓦斯本社ビルで最初に用いられて以来、アスファルト防水工法は、現在でも日本建築学会や官公庁の防水工事共通仕様書の標準仕様として、防水業界の主流工法となっています。


Q5 工事現場で発生する煙と臭いの成分は何ですか?
▼Answer
 アスファルト防水工事において、アスファルトを加熱溶融する際には、煙と独特の臭い(いわゆるアスファルト臭)が発生します。この臭いはアスファルト中に微量に含まれている硫黄化合物、窒素化合物、炭化水素系化合物等が加熱により分解反応で生ずる比較的に低分子気体の複合臭です。(温泉地での腐敗した卵のような臭い、自然界では生ゴミや下水からも放出されています。)
 しかし、これらガスの発生量はきわめて微量であり、臭気を感じる場合でも濃度的には極めて低く、問題の無い場合がほとんどです。ちなみに、アスファルト防水工事で溶融アスファルトから発生するガスは、作業環境として労働安全衛生法で定められている数値よりはるかに少ない量です。
 また臭気に関しては「悪臭防止法」という法律が別にあります。「悪臭防止法」の悪臭として現在22種類の物質が「特定悪臭物質」として指定されていますが、防水工事用アスファルトはこれらの特定物質に指定されていません。


Q6 煙と臭い以外に人体や環境への影響はありませんか?
▼Answer
 我が国では化学物質による環境負荷の低減を目指し、化学物質の安全管理を促進させようとする法律(PRTR法)が平成13年3月30日に施行され、第1種指定化学物質354物質(うち、特に発ガン性の高い12物質は「特定第1種指定化学物質」とする)と第2種指定化学物質81物質が対象物質として挙げられていますが、アスファルトは指定化学物質第1種および第2種共にこの指定物質には挙げられていません。
 海外でも、発癌性に関してIARC(国際癌研究機関)ではアスファルトを対象外としており、EUでもアスファルトは「危険な物質」に該当しないとされています。
 総じてアスファルトそのものは天然物に近く、反応性に乏しい、安定した物質ですので人体・環境への影響は少ないと考えられています。


Q7 アスファルトの煙や臭気を低減するための手段はありませんか?
▼Answer
 アスファルトの溶融時に発生する煙や臭気を完全に無くすことは困難です。しかしながら、現在は環境問題が地球規模で取りあげられており、当工業会でも環境対応の一環として、この煙や臭気を少なくするよう努めています。
 その一つとして、在来のアスファルトの溶融温度は約270℃(軟化点+170℃)とされていましたが、低煙・低臭タイプのアスファルトとして約240℃にて溶融施工のできるアスファルトを開発しました。また工具機械類では、アスファルトを溶融する「改良型無煙釜」の製作、溶融したアスファルトを施工現場まで運ぶ「大型保温タンク」の完成等々があります。
 


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